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2009.09.16 山内閣誕生に思う

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「○○円からお預かりします。」「〜でよろしかったでしょうか。」

1990年代、ファミレスが発端とされる『マニュアル用語』なるものが世間に広がり、妙な日本語が使われ出した。

そして、「〜させていただきます。」という語尾をやたらと連発する政治家の出現に、強烈に違和感を感じたことがある。

それは、1999年民主党代表選挙に出馬した鳩山由紀夫幹事長(当時)だった。

 

「出馬させていただきます。」

 

「出馬します。」と言い切らないのは、なぜだろうか。

 

しばらくして後に、ある自民党大物議員の関係者から、

 

「選挙に出馬するときは、自分からしゃしゃり出ると反発を食らう。

そこで、わざと周りに『あなた出なさいよ』と言わせるように立ち回るのが賢い方法なんだ。」

 

と聞き、なるほど、あの時の鳩山由紀夫氏も周りとの軋轢を避けるためにそんな回りくどい言い方をしたのかもしれない、と納得をした。

けれど、周囲に気を遣い、主体性の無さとも取れるそのスタンスに、責任感の希薄さを感じたのも事実だった。

 

そして、2001年、田中真紀子氏に「変人」呼ばわりされながらも、強烈な存在感を示した小泉純一郎氏が総理総裁となり、何事もキッパリと短い言葉で言い切る『ワンフレーズ手法』は民衆を惹きつけた。

 

その頃の鳩山由紀夫氏はというと、2002年、小沢一郎氏率いる自由党との合併問題で頓挫、代表辞任に追い込まれていた。

当時日本テレビ・NNN24ニュースのキャスターをしていた私は、ニュース専門チャンネルならではの会見ノーカット中継で、鳩山由紀夫氏のコメントを一言一句もらさず聞いていた。

すると、金曜日の19時という時間に記者会見をセッティングした鳩山代表は、党内混乱の責任を取るとも取らないとも明言せず、「何のために会見を開いたのか!」「鳩山代表自身の進退について注目されているのにコメント無しですか!」と苛立つ記者たちに詰め寄られ、

「え〜、・・・代表を辞任します。」

と押し切られた形でいきなりの代表辞任発表となってしまった。

 

あの時の狼狽振りを見ると、鳩山氏が決してそのつもりで会見を開いたのではなかったことが見て取れた。空気を読むというより、風に乗れない人、という印象だった。

 

そして、その頃、ある民主党議員からはこんな発言を聞いたことがある。

「選挙で選ぶという時点で、国民のレベルを超えた政治家なんて登場しなくて当たり前だよ。

つまり、民度に合った議員だよ。

 

これが政権交代実現に一番近い野党の考えることかと思うと、心底がっかりした。

民主党がネクスト・キャビネットを発表する度、「こんな日は来ないだろう」と思わせられた。

 

しかし、月日は流れ、消えた年金、天下り、混迷する経済、失業者対策・・・、山積する問題へ自民党の無策に対する不満を背景に、民主党はとうとう政権を手中に収めた。

 

そして今日、10年前のあの頃には考えられなかった民主党政権が誕生した。

 

新内閣発足を受けた鳩山新総理の会見では、「〜させていただきます」の言葉は影を潜めていた。

 

「〜(との理由)から、国家戦略局を作った次第であります。」

 

もう、「作らせていただきました」とはコメントしなかった。

 

この内閣がどれほどやってくれるかは全く未知数だ。

とにかく、今後は自分の国の総理大臣を誇れるようになりたいと思う。そんな総理の出現をただ願う。

 

まずは鳩山新総理の所信表明演説に注目したいと思う。

 

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